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【獣医師監修】犬・猫の混合ワクチンについて 

混合ワクチンについて

 

 昨今の新型コロナウイルスの蔓延により、ワクチン接種の重要性が周知されてきていると思われます。動物たちも同様に、ワクチン接種で疾病の予防および症状緩和につながるのです。

 

混合ワクチンの必要性

 混合ワクチンは、ワンちゃんどうし、ネコちゃんどうしの伝染病を予防したり、重症化を防いだりする為に行います。これらの感染症は軽症なものから重篤なものまで様々ですが、感染の蔓延防止の為には必要な事です。そのためドックランやペットホテルを利用する際には、証明書の提示を求められる場合もあります。

 

ワクチンの種類

コアワクチン

 すべての犬猫が接種すべきであり、感染の結果重篤な症状になったり、広く伝播したりする可能性がある疾病に対するワクチンです。犬用ではジステンバーウイルス、パルボウイルス、アデノウイルスに対するワクチンが、猫用では猫パルボウイルス(猫汎白血球減少症)、猫カリシウイルス、猫ヘルペスウイルス(猫ウイルス性鼻気管炎)に対するワクチンがこれにあたります。

 

ノンコアワクチン

 月齢や生活スタイルなどにより感染のリスクのある場合に接種するワクチンです。ドッグラン、トリミングやホテルなどを利用する場合や、山や川といった自然の多い場所へ行かれる場合は接種を推奨します。

 

犬用ワクチンの推奨プロトコール

 4〜6週齢の子犬に1ヶ月(約3〜4週)間隔で3回接種を推奨しております。その後は年1回の接種を推奨しております。

 

猫用ワクチンの推奨プロトコール

 8〜9週齢の子猫に1ヶ月(約3〜4週)間隔で2回接種を推奨しております。その後は年1回の接種を推奨しております。

 

 

感染症の種類 犬

犬ジステンパー

・感染した犬の目ヤニや鼻水などの接触や飛沫物により感染(飛沫感染)します。

・症状は咳や下痢、鼻水、目ヤニ、発熱、痙攣などです。

・伝染力が強く死亡率も高いです。

・ニホンオオカミの絶滅の原因になった疾患として有名です。

 

犬パルボウイルス感染症

・感染した犬の糞や嘔吐物の接触により感染します。

・症状は激しい嘔吐、下痢、血便、食欲減退を引き起こす腸炎型と、子犬に対して突然死を起こす心筋炎型があります。

・特に子犬の致死率が高く、妊娠犬は流産や死産の原因になります。

 

犬伝染性肝炎

・犬アデノウイルスⅠ型の感染によって起ります。

・感染犬の鼻水や唾液、排泄物などの接触により感染します。

・症状は発熱や嘔吐、下痢、鼻水、くしゃみなどが見られ、続発して肝炎が起ります。

・回復期には角膜浮腫により目が青白く濁って見えることがあります(ブルーアイ)。

 

犬伝染性喉頭気管支炎

・犬アデノウイルスⅡ型の感染によって起ります。

・ケンネルコフの主要病原体のひとつです。

・感染犬との接触感染や飛沫感染が原因です。

・症状は咳や鼻水、発熱などです。

・他のウイルスや細菌との複合感染で重篤化することが多いです。

 

犬パラインフルエンザ感染症

・ケンネルコフの病原体のひとつです。

・感染犬との接触感染や飛沫感染が原因となります。

・症状は咳や発熱、鼻水などの風邪に症状に似ています。

 

レプトスピラ症

・レプトスピラという細菌が原因です。

・感染動物の尿中に細菌が排出され、汚染された土や水が感染源となります。

・人にも感染する人獣共通感染症です。

・症状は、症状が出ない不顕性なものや感冒様症状で軽快する軽症型から、高熱、嘔吐、下痢、黄疸、出血、腎障害を伴う重症型まで多彩な症状が見られます。

 

感染症の種類 猫

 
猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)

・感染力が非常に強い。感染猫の嘔吐物や排泄物から感染します。

・症状は発熱、元気消失、急性の嘔吐、下痢、白血球減少あるいは流産、死産になります。若齢猫ほど発症しやすく、重症化しやすいです。

 

猫ウイルス性鼻気管炎(猫ヘルペス感染症)

・感染力が強く、感染猫と直接接触して感染、飛沫感染、また感染猫を触った人が他の猫に移すこともあります。

・くしゃみ、咳、鼻水といった風邪のような症状が出たり、目やにが出て結膜炎になったり上部気道炎になったりします。

・このウイルスは潜伏感染するので、生涯にわたりウイルスを保持することになる。このためストレスや免疫が下がると症状の再発や他の猫の感染源となることがあります。

 

猫カリシウイルス感染症

・感染力が強く、感染猫と直接接触して感染、飛沫感染、また感染猫を触った人が他の猫に移すこともあります。

・症状はくしゃみ、鼻水、発熱といった風邪のような症状がでたり、よだれや口内炎が出て、口臭を感じたりすることがあります。

 

猫白血病ウイルス感染症(FeLV)

・感染猫の唾液や血液を介して咬傷や毛づくろい、同じ食器を使うことでも感染した例があります。また、妊娠した場合子猫にも感染する垂直感染も起こります。

・感染初期は発熱や貧血と共に元気消失が見られますが、一旦は落ち着きます。その後期間を経て免疫が低下して白血病、リンパ腫、腎不全などになることがあります。

・感染した猫から完全にウイルスを排除することは困難なため、感染予防が最も重要です。

 

猫クラミジア感染症

・猫同士の接触や空気伝播により感染します。

・症状は結膜炎を起こし涙や目やにが出たり、くしゃみ、鼻水、咳といった上部呼吸器疾患が起こったりします。

 

 猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)

・感染はケンカなどの傷口から直接伝播するものと考えられています。

・症状は初期は無症状であることが多く、徐々に免疫が下がっていき、発熱、貧血、治りにくい口内炎、リンパ節の腫大などがみられます。

 

※混合ワクチンの種類によって予防できる病気が変わるので、獣医師と相談してください。