2022年10月

【獣医師監修】犬・猫の混合ワクチンについて 

混合ワクチンについて

 

 昨今の新型コロナウイルスの蔓延により、ワクチン接種の重要性が周知されてきていると思われます。動物たちも同様に、ワクチン接種で疾病の予防および症状緩和につながるのです。

 

混合ワクチンの必要性

 混合ワクチンは、ワンちゃんどうし、ネコちゃんどうしの伝染病を予防したり、重症化を防いだりする為に行います。これらの感染症は軽症なものから重篤なものまで様々ですが、感染の蔓延防止の為には必要な事です。そのためドックランやペットホテルを利用する際には、証明書の提示を求められる場合もあります。

 

ワクチンの種類

コアワクチン

 すべての犬猫が接種すべきであり、感染の結果重篤な症状になったり、広く伝播したりする可能性がある疾病に対するワクチンです。犬用ではジステンバーウイルス、パルボウイルス、アデノウイルスに対するワクチンが、猫用では猫パルボウイルス(猫汎白血球減少症)、猫カリシウイルス、猫ヘルペスウイルス(猫ウイルス性鼻気管炎)に対するワクチンがこれにあたります。

 

ノンコアワクチン

 月齢や生活スタイルなどにより感染のリスクのある場合に接種するワクチンです。ドッグラン、トリミングやホテルなどを利用する場合や、山や川といった自然の多い場所へ行かれる場合は接種を推奨します。

 

犬用ワクチンの推奨プロトコール

 4〜6週齢の子犬に1ヶ月(約3〜4週)間隔で3回接種を推奨しております。その後は年1回の接種を推奨しております。

 

猫用ワクチンの推奨プロトコール

 8〜9週齢の子猫に1ヶ月(約3〜4週)間隔で2回接種を推奨しております。その後は年1回の接種を推奨しております。

 

 

感染症の種類 犬

犬ジステンパー

・感染した犬の目ヤニや鼻水などの接触や飛沫物により感染(飛沫感染)します。

・症状は咳や下痢、鼻水、目ヤニ、発熱、痙攣などです。

・伝染力が強く死亡率も高いです。

・ニホンオオカミの絶滅の原因になった疾患として有名です。

 

犬パルボウイルス感染症

・感染した犬の糞や嘔吐物の接触により感染します。

・症状は激しい嘔吐、下痢、血便、食欲減退を引き起こす腸炎型と、子犬に対して突然死を起こす心筋炎型があります。

・特に子犬の致死率が高く、妊娠犬は流産や死産の原因になります。

 

犬伝染性肝炎

・犬アデノウイルスⅠ型の感染によって起ります。

・感染犬の鼻水や唾液、排泄物などの接触により感染します。

・症状は発熱や嘔吐、下痢、鼻水、くしゃみなどが見られ、続発して肝炎が起ります。

・回復期には角膜浮腫により目が青白く濁って見えることがあります(ブルーアイ)。

 

犬伝染性喉頭気管支炎

・犬アデノウイルスⅡ型の感染によって起ります。

・ケンネルコフの主要病原体のひとつです。

・感染犬との接触感染や飛沫感染が原因です。

・症状は咳や鼻水、発熱などです。

・他のウイルスや細菌との複合感染で重篤化することが多いです。

 

犬パラインフルエンザ感染症

・ケンネルコフの病原体のひとつです。

・感染犬との接触感染や飛沫感染が原因となります。

・症状は咳や発熱、鼻水などの風邪に症状に似ています。

 

レプトスピラ症

・レプトスピラという細菌が原因です。

・感染動物の尿中に細菌が排出され、汚染された土や水が感染源となります。

・人にも感染する人獣共通感染症です。

・症状は、症状が出ない不顕性なものや感冒様症状で軽快する軽症型から、高熱、嘔吐、下痢、黄疸、出血、腎障害を伴う重症型まで多彩な症状が見られます。

 

感染症の種類 猫

 
猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)

・感染力が非常に強い。感染猫の嘔吐物や排泄物から感染します。

・症状は発熱、元気消失、急性の嘔吐、下痢、白血球減少あるいは流産、死産になります。若齢猫ほど発症しやすく、重症化しやすいです。

 

猫ウイルス性鼻気管炎(猫ヘルペス感染症)

・感染力が強く、感染猫と直接接触して感染、飛沫感染、また感染猫を触った人が他の猫に移すこともあります。

・くしゃみ、咳、鼻水といった風邪のような症状が出たり、目やにが出て結膜炎になったり上部気道炎になったりします。

・このウイルスは潜伏感染するので、生涯にわたりウイルスを保持することになる。このためストレスや免疫が下がると症状の再発や他の猫の感染源となることがあります。

 

猫カリシウイルス感染症

・感染力が強く、感染猫と直接接触して感染、飛沫感染、また感染猫を触った人が他の猫に移すこともあります。

・症状はくしゃみ、鼻水、発熱といった風邪のような症状がでたり、よだれや口内炎が出て、口臭を感じたりすることがあります。

 

猫白血病ウイルス感染症(FeLV)

・感染猫の唾液や血液を介して咬傷や毛づくろい、同じ食器を使うことでも感染した例があります。また、妊娠した場合子猫にも感染する垂直感染も起こります。

・感染初期は発熱や貧血と共に元気消失が見られますが、一旦は落ち着きます。その後期間を経て免疫が低下して白血病、リンパ腫、腎不全などになることがあります。

・感染した猫から完全にウイルスを排除することは困難なため、感染予防が最も重要です。

 

猫クラミジア感染症

・猫同士の接触や空気伝播により感染します。

・症状は結膜炎を起こし涙や目やにが出たり、くしゃみ、鼻水、咳といった上部呼吸器疾患が起こったりします。

 

 猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)

・感染はケンカなどの傷口から直接伝播するものと考えられています。

・症状は初期は無症状であることが多く、徐々に免疫が下がっていき、発熱、貧血、治りにくい口内炎、リンパ節の腫大などがみられます。

 

※混合ワクチンの種類によって予防できる病気が変わるので、獣医師と相談してください。

猫ちゃんの健康診断とは?基本の健康診断から血液検査まで解説

最近、健康診断を受けたいというご要望が増えてきました。

でも、健康診断ってどのように受けたらよいの?どのタイミングで受けたら良いの?などの質問を受けることもあります。

そこで今日は山田動物病院の健康診断をご紹介しましょう。

健康診断を受けるタイミング

まず、健康診断を受けるタイミングは、

① 新しく猫ちゃんをお家に迎え入れた時

② 予防接種を受ける時

③ 秋の猫ちゃんの血液検査キャンペーンを受ける時 ※このキャンペーンについては別ブログでご紹介いたします。

などが分かりやすい目安となります。また、「受けたい時に、いつでも受けられる」のです。

基本の健康診断

山田動物病院の健康診断はまず、「視診・触診・聴診による基本の健康診断」があります。

この「基本の健康い診断」のお値段は1870円。

山田動物病院では、受診するすべての動物の初診時にこの「基本の健康診断」を行い、費用は初診料に含まれています。

また、山田動物病院で定期的にトリミングを受けられる子は3ヶ月に1回の割合で、無料で「基本の健康診断」を行い、飼い主様に報告させていただいています。

「基本の健康診断」の流れ

① 体重・体温を測る。体温は肛門で測りますので、体温計に便が付着したときは検便をします。※便をお持ちいただくこともできます。

② 目の白目を見て、貧血がないか?顔を観察して鼻汁がないかなどを視診します。

③ 目の結膜、角膜に異常がないか?白内障がないか?などを視診します。

 

④ 口腔内を視診します。歯肉、歯に異常がないか?歯石は溜まっているか?舌炎はないか?などを視診します。

 

⑤耳に異常はないか視診します。

 

⑥身体にノミ糞はないか?脱毛はないか?皮膚炎はないか?などを視診します。また肛門周りや陰部なども視診します。

 

⑦ リンパ節に異常はないか?腹部に異常はないか?脱水はしていないか?などを触診します。

 

⑧四肢に異常がないか?股関節などに異常がないか?爪の異常はないか?などを触診・視診します。

⑨ 最後に打診し、聴診器で異常音がないか?聴診します。

以上が山田動物病院の「視診・触診・聴診による基本の健康診断」です。

基本の健康診断でわかること

この健康診断により、

貧血

結膜

角膜

鼻汁

歯石

歯肉炎

舌炎

リンパ節

脱水

肛門

陰部

皮膚炎

脱毛

ノミ糞

前肢

後肢

膀胱

心音

便

 

 

 

 

 

 

 

に異常がないかを調べることができます。

何事もなく、元気で長生きしてほしいと飼い主様は皆様そう願います。そのためにも、定期的な健康診断を受けることをお勧めいたします。

 

前回の「視診・触診・聴診による基本の健康診断」に続き、更に詳しく健康診断を行いたいと考える飼い主様や、予防獣医学の観点からも血液検査をお勧めします。

お知らせ

山田動物病院では毎年10月から12月まで生化学16項目を検査する「猫ちゃんの秋の血液検査キャンペーン」を通常の約半額の6,050円で実施しています。

(キャンペーン中ですと「視診・触診・聴診による基本の健康診断」と採血料が無料になります。)

 

血液検査について

「山田動物病院の視診・触診・聴診による健康診断」を受けた後、採血をします。猫ちゃんは後肢から採血します。

検査項目(生化学16項目)

総蛋白(TP)、アルブミン(Alb)、グロブリン(Glob)、A/G比、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アルカリフォスファターゼ(ALP)、総コレステロール(T-Cho)、総ビリルビン(T-Bil)、グルコース(Glu)、IDEXXSDMA、尿素窒素(BUN)、クレアチニン(Cre)、BUN/クレアチニン比、リン(P)、カルシウム(Ca)

 

採血が終わりましたら、血液を外部検査機関に送ります。

結果が来ましたら、獣医師が1頭1頭の総合的な判断、診断をして、検査結果と共に、飼い主様の自宅に送ります。(約1週間から10日ほどのお時間をいただいております)

では、生化学16項目を詳しく解説しましょう。

 

総蛋白(TP)

血液中の蛋白質の総量を示し、栄養状態、肝・腎機能や免疫機能の指標となります。Alb、Globの数値と併せて評価します。

アルブミン(Alb)

血液中に多く含まれる蛋白質です。上昇は脱水、低下は肝臓、腎臓、腸などの疾患や出血などが疑われます。

グロブリン(Glob)

血液中に多く含まれる蛋白質です。上昇は脱水、慢性炎症、腫瘍、減少は免疫異常などが疑われます。

A/G比

アルブミン(Alb)とグロブリン(Glob)の比を算出したものです。慢性炎症、腫瘍、慢性肝障害、腎からの喪失などで低下します。

アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)

肝臓に多く含まれている酵素です。主に肝臓のダメージの指標として用いられます。

アルカリフォスファターゼ(ALP)

主に胆道系疾患(胆汁鬱滞、胆管肝炎など)で上昇する肝酵素です。骨の成長期、腫瘍などの影響により上昇する場合もあります。

総コレステロール(T-Cho)

生体の主要脂質成分であるコレステロールの血液中の総量を示します。肝臓や胆道、腎臓の疾患や糖尿病、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患などで上昇します。肝不全、小腸疾患などで低下します。

総ビリルビン(T-Bil)

ビリルビンは赤血球中のヘモグロビンの代謝産物です。溶血、肝障害、排泄経路の閉塞などで上昇し、黄疸の原因となります。

グルコース(Glu)

血糖値を示し、糖尿病や低血糖の診断に用います。食事の影響を受けるため、食後に上昇します。またこうふんなどのストレスやステロイドの影響により上昇する場合もあります。

IDEXX  SDMA

対称性ジメチルアルギニン。腎臓から排泄される代謝産物で、早期の腎疾患の可能性を可能にする、犬、猫の新しい腎機能マーカーです。

クレアチニン(Cre)

腎臓から排泄される代謝産物で、腎機能が激しく低下すると上昇します。低下の原因としては、著しい筋肉の減少などがあります。

尿素窒素(BUN)

腎臓から排泄される代謝産物で腎機能の低下や消化器官出血などで上昇します。また肝機能低下により減少することもあります。

BUN/クレアチニン比

BUNとクレアチニンの比を算出したものです。これらの値が正しく腎臓の状態を反映しているかどうかを評価します。

リン(P)

副甲状腺疾患、腎臓病、食事内容によって変動します。

カルシウム(Ca)

骨代謝や筋肉の収縮、血液凝固などに関与します。主に腎臓や副甲状腺の疾患などで変動します。また腫瘍で上昇する場合もあります。

お知らせ

10月から12月に行われる「猫ちゃんの秋の血液検査キャンペーン」では、以上の16項目の検査で各項目を組み合わせて総合的に判断いたします。獣医師の細かいコメントがありますので、大変分かりやすいです。検査結果の質問等も後日受付ますのでますます安心ですね。

また、キャンペーン期間外でも血液検査は随時受け付けておりますので、その場合はご相談ください。