フィラリア検査が始まりまりました!
春のフィラリア検査が始まりました。
狂犬病予防注射と一緒に検査を受けることをお勧めいたします。
料金:採血料 1,400円 検査料金 2,200円
今回はフィラリア検査について、当病院のDr.simadaにまとめてもらいました。
犬のフィラリア症について
フィラリア予防
フィラリア症(犬糸状虫症)は蚊の媒介で感染します。心臓や肺動脈に寄生して、右心不全をはじめとして肝臓、腎臓、肺などの臓器にも悪影響が起き、放置すると死に至ることもあります。
予防の仕方
犬のフィラリア症は薬による予防でほぼ100%可能です。しかしフィラリアに寄生した状態で予防薬を与えることは危険です。それは、体内で大量にフィラリアの子虫が死亡するとショック症状を起こし、最悪の場合は死に至ことがあるからです。
したがって、予防薬の投与の前に検査が必要になります。検査は血液を採取することで簡単にフィラリア抗原を確認することができます。この検査結果が陰性であれば、予防薬を投与することができます。
予防期間は蚊の出現する環境で異なります。東京都は5月中旬から11月中旬の間に蚊が発生していると言われています。これより6月中旬から12月中旬の7ヶ月間、月1回予防薬を投与します。(通年投与でも問題ありません。)
なぜこのような処方になるかというと、フィラリア症の予防薬は体内にフィラリアを入れるのを防ぐのではなく、フィラリアの子虫を駆虫する薬なのです。
蚊がフィラリア感染犬を吸血するとmf(ミクロフィラリア:フィラリアの赤ちゃん)を体内に取り込みます。蚊の体内でmfは感染力をもつL3という状態に成長し、この時期に他の犬を吸血すると伝播していきます。実はフィラリア症の予防薬は、mf、L3、L4に効果のある駆虫薬なのです。蚊に刺されてからL3に成長するまで約2週間なので、月1回の予防薬の投与が必要になり、蚊の発生1ヶ月後から発生終息の1ヶ月後までの予防期間になります。
また、コリー犬とその系統の犬種は、アベルメクチン系薬剤で神経症状を示したという報告があるため、これらの犬種はアベルメクチン系薬剤でない物を投与しましょう。
さらに、予防薬はフィラリアだけ予防する物から、ノミやダニなどの寄生虫を同時に駆虫する物まで様々です。用途に合わせて選びましょう。
まとめ
①投与前は検査を行って、陰性を確認する。
②予防薬は6月中旬から12月中旬まで月1回投与する。
もしフィラリア症になってしまったら
フィラリア症は寄生数、罹患の期間、症例の感受性により重症度が決まります。そしてフィラリアの寄生がわかったらこの重症度をもとに治療を行います。
犬のフィラリア症の症状は、急性の大静脈症候群と慢性の症状に分けられます。大静脈症候群は貧血、虚脱、呼吸困難といった重篤な症状が現れます。また慢性症状としては呼吸困難や発咳といった呼吸器症状や、腹水が貯留する右心不全の症状、ネフローゼ症候群(蛋白尿、低アルブミン血症、高脂血症、浮腫)といった症状があげられる。
治療法は、
- 成虫の駆除
- mfの駆除
- 心不全の治療
などを行うことがあります。
成虫の駆除は、駆虫薬を用いた内科的治療法と、手術による外科的な治療法があります。mfの駆除も内服で治療します。しかし、成虫駆除もmf駆除も多量に寄生している状態で駆虫すると、死骸が血管を詰まらせたり、死骸によるショック症状を呈したりする恐れがあるため、重症度に合わせ慎重に治療を行う必要があります。
また、感染が長期になると、肺高血圧になり右心不全を起こすことがあります。この場合は、駆虫とは別に心不全の治療が適宜必要になります。
フィラリア症にならないためにも予防を行いましょう。
猫のフィラリア症
本来フィラリア(犬糸状虫)の終宿主は犬であり、中間宿主は蚊であります。つまりフィラリアの生活環はイヌ科動物と蚊の両方が存在する必要があるのです。ところが現在40種類以上の動物でフィラリアの寄生が報告されています。その中でも食肉類(猫、フェレット、タヌキ、キツネなど)の報告が多いようです。このため、特に猫のフィラリア感染にも注目されつつあります。
猫は本来の終宿主ではないため、L3(感染力を持つ)が成虫になる確率が低いとされています。そのために、猫における発生数は低いのです。
フィラリアに感染した猫の多くは無症状のまま経過することが多いようですが、肺に寄生して咳や苦しそうな呼吸を呈したり、急性症状を呈して急死したりと様々な経過をたどります。
猫のフィラリアは診断が難しいです。フィラリアから猫を守るには、やはり猫専用の予防薬を毎月1回投与することになります。
まとめ
①犬よりは発生が少ないが猫もフィラリアに感染します。
②予防は蚊の発生に伴って、予防薬を毎月1回投与することです