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院長からのアドバイス

釣り針を飲んじゃったタマちゃん

狛江市の雑種犬のタマちゃん、ご主人の釣りのお供で多摩川に連れて行ってもらいました。ご主人の狙いは鯉。餌はパンです。ところがパンはタマちゃんの大好物。スキをみて釣り針ごとパンをパクリと飲み込んでしまったのです。あわてたご主人は釣り糸を引っ張ってみましたがどうやっても引き出せません。困り果ててタマちゃんを抱きかかえて近くの動物病院に駆け込みました。レントゲンを撮ってもらうと、胃の少し手前の食道の中に釣り針が写っていました。食道は胸腔内に有るので、大きく開胸し肺に陽圧呼吸をかけながら肺や複雑な血管を避けて、食道に到達して針を摘出しなければならず、かなり危険な大手術になるとのことで当院に紹介されてきました。タマちゃんの口からは釣り糸が垂れ下がっていました。診察した結果、口から内視鏡を挿入して異物カンシで摘出できれば理想的です。早速、全身麻酔をかけトライしました。案の定、食道の内壁にグサッと突き刺さっていました。釣り針には“かえし”があるのでなかなか外れません。カンシでつかんでから引かずに逆に胃の方向に押すようにしました。奮闘すること15分。ついに外れて取り出すことに成功しました。体にメスを入れることもなく、1時間位で麻酔も醒めて、タマちゃんはしっぽを元気よく振って帰って行きました。メデタシ、メデタシ。

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猫の肝リピドーシス

猫の体重は3~4㎏が普通です。ところが最近はグルメの影響や運動不足のせいで5~6㎏の猫も珍しくありません。当院での最高は10㎏です。肥満の猫が何らかの原因で1週間くらい全く食欲が無くなると、肝臓に脂肪が蓄積する肝リピドーシスという病気になることがあり、治療しないと死に至ることになります。症状としては食欲不振、体重減少、黄疸および嘔吐があげられます。治療は栄養補給をし続けることに尽き、獣医師は栄養チューブを駆使して様々な方法で栄養液を投与します。
 肥満の猫が食欲不振になっても体脂肪が消費されて丁度いいと思いがちですが、実はこのような病気が待ち受けていますので注意してください。

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T P Rを計ってみよう

Tはtemperatureの略で、体温のことです。犬も猫も平熱は38.5℃で、人間より2℃高いので抱くと温かく感じます。動物は体温計を肛門から挿入して計ります。人間用でOKですから、1本動物専用に用意すると良いでしょう。先端を水で濡らして滑りやすくして3~4cm挿入します。感染症や熱中症等で上昇しますが、激しい運動後にも上昇します。逆に低下は生命活動の下降を意味し、良くないことです。
 Pはpulseの略で脈拍のことです。人差し指を内股に当て1分間の大腿動脈の拍動数を数えます。正常な数は毎分70~160回で、小型犬や猫では多い傾向にあります。
 Rはrespirationの略で、呼吸数のことで胸の動きで数えます。毎分10~30回が正常です。心疾患、貧血、呼吸器疾患等で増加しますが、興奮時や暑い時にも増加します。
 動物は私達にどこが悪いのかを言葉では教えてくれませんから、全身を隈なくチェックし、血液検査やレントゲン等で科学的データを集積し病気の診断をします。そのうちTPRは最も基本的な検査で、ご家庭でもできることなのでチャレンジされてみてはいかがでしょうか。

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猫の血液型

 猫にはA型、B型、AB型の3種類の血液型があります。最も一般的なのはA型で、B型は時々見られ、AB型は非常にまれです。血液型の分布は猫の種類によっても変わり、シャムやロシアンブルーは100%、日本猫は95%、ペルシャやアビシニアンでは80%がA型です。輸血可能なのはA型どうし、B型どうしで、AB型は全ての型から輸血を受けることができます。しかし、B型の猫がA型の血液を輸血されると急激な溶血反応が起きてしまいます。
 交通事故などで多量に出血している猫を救命する時や、大手術をする時、あるいは一部の内科疾患で輸血が必要な時があります。そのさい血液型がわかっていればあわてなくてすみますから、事前に血液型検査をしておくことをお勧めします。

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肛門嚢炎

犬や猫では肛門の内側斜め下に左右一対の肛門嚢があります。これらの中には悪臭を放つ分泌物が溜まっています。肛門周囲には細菌がたくさん付着していますから、感染を受け赤紫色に腫れ、痛みに苦しめられることがしばしばあります。腫れたところはやがて自潰して皮膚が破れ,膿汁が排出されます。こうなってしまうと、多くは肛門嚢摘出手術が必要になります。
 この病気の予防は、1ヶ月に1回くらい肛門嚢を絞り、分泌物を排出させると良いのです。絞った後は悪臭のする分泌物が肛門周囲に付着しますから、部分的にシャンプーしてあげましょう。プロフェッショナルなトリマーはシャンプー前に必ず肛門嚢を絞っているのです。とは言っても、肛門嚢絞りはなかなか難しいです。獣医師やトリマーに任せるか、実際に“コツ”を教えてもらいましょう。

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放射線療法

 癌の治療方法として、手術で摘出する外科療法、抗癌剤による化学療法が以前から行なわれてきました。そして、いよいよ数年前から一部の大学病院では人間並みに放射線療法が行なわれるようになって来ました。
 例えば、鼻腔内の悪性腫瘍を外科的に治療する場合、鼻や上あごを切除することになります。顔の形が著しく変形し、食べ物の咀嚼が大変困難になってしまいます。化学療法の場合は、白血球数の減少、胃腸障害、脱毛等の全身的な副作用が現れることがあります。これらに対し放射線療法は体の形や機能を保存したまま治療でき、また放射線障害は照射部位だけに限定されるなどの利点があります。
 主に、鼻腔内腫瘍、口腔内腫瘍、脳腫瘍等に適用されることが多く、今までは諦めなければならなかったケースでも放射線療法によって治療できる可能性が出てきたことは大変喜ばしいことと思います。

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皮膚糸状菌症

若いご夫婦が皮膚病のスコッティシュホールド種の猫を連れて来院されました。額から耳にかけて何ヶ所も脱毛し、発赤して、いかにも痒そうでした。患部の毛や皮膚の一部を採取して、顕微鏡で検査しましたが簡単には原因を発見することが出来ませんでした。何回か検査をやり直すうちに毛検査で皮膚糸状菌症と診断しました。その皮膚病について説明するうちに、ふと奥様の瞼に硬貨大の赤い班があるのに気づきました。ほとんど猫ちゃんと同時に発症したそうです。「なんだ、こんなに一生懸命顕微鏡を覗き込まなくても奥さんの顔をよく見ていればもっと早く診断がついたのに。」と心の中で苦笑しました。
 皮膚糸状菌症は人畜共通感染症で、人間にも感染することがあります。
 猫ちゃんばかりか飼い主さんの皮膚病の原因まで判明し、納得したご様子で帰られました。

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猫ひっかき病

 猫によるひっかき傷からBartonella henselaeという細菌が人に感染することによって起こる病気で、1~3週間後にリンパ節が腫大して痛み、発熱、倦怠感が伴うようになります。抵抗力の弱いお年寄りや小児では脳炎、心内膜炎、肺炎など重症化するケースもあります。
 この病気の感染にはノミが関与しています。20%の猫がこの菌を赤血球内に保有しており、ノミが吸血する際、菌も一緒に取り込み、ノミの糞中に排泄します。猫が体をグルーミングしたり、足で掻くことにより口や爪にその菌が付着し、咬んだり、引っかいたりすることによって人に感染させます。従って、この人畜共通感染症「猫ひっかき病」を予防するためには、猫にノミを寄生させないことが重要です。
 ノミ駆除剤として、メリアル社のフロントラインやバイエル社のアドバンテージは効果が確実で副作用も無く、世界中で多くのペットに使用されているので推奨できます。

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猫のパラジクロロベンゼン中毒

パラジクロロベンゼンは衣類防虫剤の原料です。
ある学会で報告された症例ですが、同一家庭で飼育されていた2頭の猫に血液検査で肝障害が認められました。入院させて治療すると2週間程で検査値が正常になったので退院させました。しかし1週間後には再び検査値が上昇しました。このため、飼育環境に関する詳細な問診を実施しました。その結果、衣類防虫剤が原因と疑われ、飼主さんの家の室内大気中のパラジクロロベンゼン濃度を測定したところ、597.7μg/㎥と著増していました。
厚労省指針値は240μg/㎥です。さっそく防虫剤を処分したところ、その後2ヶ月程で血液検査が正常値に戻りました。動物が衣類防虫剤を食べて中毒を起こすことは知られていましたが、気化成分を吸入することによっても中毒を起こす可能性もあるので注意してください。

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猫のウイルス性鼻気管炎

ヘルペスウイルスによる感染症で、鼻炎による激しいクシャミと結膜炎による眼分泌物の排出が主な症状です。また食欲が無くなることもあります。感染力はとても強く、感染猫の鼻汁や涙などに接触することによって感染します。複数の猫を飼っている場合、一頭が発病したら別々の部屋に隔離して、飼い主さんは病気の猫を触ったらよく手を洗ってから他の猫を触るようにしてください。
治療は、インターフェロンの3日間連続の注射、抗生物質の投与、鼻汁や眼分泌物を取って清潔にして、点眼・点鼻薬の投与をします。食欲が無い場合には食べ物を強制投与します。この病気は人間のインフルエンザに似ています。流行る季節も冬なので、たまたま家族と猫ちゃんが風邪をひいていると、うつるように思ってしまいますが、人間と猫の間で感染することはありません。この病気にはワクチンがありますので接種して予防してあげることをぜひお勧めします。

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